屋比久翔平(26=ALSOK)が3位決定戦でモハンマダリ・ゲラエイ(イラン)を13-3で下し、銅メダルを獲得した。

2日の2回戦で19年世界王者のレーリンツ(ハンガリー)に惜敗したが、敗者復活戦に回り、3位決定戦への進出を決めていた。

「太ももモンスター」と呼ばれる。両脚とも60センチ以上。欧米の標準体形と言える77キロ級で、世界の強豪と対抗できるパワーの源だ。父保さん(59)譲りの肉体かと思いきや、「いやいや、かみさんですよ」。母直美さんが高校で2連覇し、高校記録を樹立したやり投げ選手だった。投てき系では室伏広治の同期で88年ソウル五輪の代表候補でもあった。太ももの筋肉は、そこにルーツがある。

沖縄発のレスリングでの五輪代表選手となったが、父母ともに五輪にあと1歩届かなかった。89、91年全日本王者の父は、2度の挑戦があった。88年ソウル大会で届かず、92年バルセロナ大会は国内予選の試合中に左足の大けがを負い、救急車に運ばれて夢尽きた。引退し、故郷沖縄で指導者になり、95年に生まれた翔平に夢の続きを託した。母も肩のけがなどもあり、26歳で引退を余儀なくされた。父は「屋比久家の夢をかなえてくれた」と孝行息子に感謝していた。

「翔平」の名前には「平成に生まれて、世界に羽ばたいてほしい」との思いが込められている。メダルをかけた舞台で、堂々と戦い抜いた。