陸上男子短距離の小池祐貴(24=住友電工)が20日の男子100メートル決勝(追い風0・5メートル)で日本歴代2位となる9秒98を出し、4位に入った。

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簡単に10秒を超えていった。小池は世界のトップを相手にしても、物おじをしないように見える。今の若い世代はユース、ジュニアで世界と戦う経験が多かった。育成世代の強化の充実が、陸上界の結果として表れている。

173センチと身長は決して、恵まれていない。ピッチは50歩以上を費やしても、足の回転スピードを極力落とさずゴールまでいけるのが強みだ。慶大時代はけがも多く、パワーで押しきる走りだったが、走り幅跳びで五輪でも活躍した臼井淳一コーチに指導を受けるようになり、大きく変わった。しっかりしていた体に、走り幅跳びの助走のようなゆとり、滑らかさが出てきた。無駄な力を使わず、後半のスピードロスを抑えられる。スタートは今回、アジア大会の時と同じく本来の右足前だったが、日本選手権の時は左足前だった。貪欲に新しい技術に挑戦しているのも分かる。

決勝で強豪と競り、9秒98を出したことも重要だが、この日の1本目となる予選で10秒09と力を出し切れたことも大きい。世界選手権の準決勝は、その日1本目のレースとなるからだ。世界で戦える領域に手がかかり始めている。(男子100メートル元日本記録保持者)