高校女子バレーボールで全国出場63度(国体除く)の実績を誇る盛岡誠桜(岩手)が新体制で、有終の美を飾ってみせる。今春、村田基(はじめ)監督(32)が就任し、新たなスタートを切った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国高校総体が中止になり、3年ぶりの出場はかなわなかったが、気持ちは切れていない。今後はコロナ感染が終息することを信じ、7年連続26度目となる全日本高校選手権(春高バレー)出場を目指す。

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「今しかできないこと、今だからできることに全力を尽くす」。コロナ禍による大会の中止が相次ぐ状況と、監督交代が重なった盛岡誠桜が、創部72年目の変革期に挑む。約20年間チームを率いて3月に下北沢成徳(東京)に赴任した伊藤崇博前監督(47)に代わって、村田新監督が4月1日付で就任。県中学選抜4人を含む新1年生7人も入部し、部員21人で新たにスタートした。県高校バレーボール専門部の強化委員も務める村田新監督は「挑戦できる環境を与えてもらった。プレッシャーはあるが、高い目標を持っている子が多いのでやりがいがある」と前を向く。

春休みに予定していた岡山遠征など練習試合はすべて中止になったが、全国47都道府県の中で唯一、感染者がいない岩手県内で、状況に応じながら通常授業と練習を続けている。部員21人中20人が県内出身者で、北海道・札幌出身のレフトエース佐々木南帆主将(3年)を含む16人が寮生活を送る。朝と練習前には検温を徹底。平熱より0・7度高い選手は練習を休ませるなど、体調管理は万全だ。

3年生4人の若いチームで、1月の全日本高校選手権レギュラーは佐々木主将とミドルブロッカー佐山玲衣(3年)の2人だけ。選手権直後の県新人大会は3校が2勝1敗で並び、セット率で2位に甘んじた。高校総体中止でモチベーション維持が懸念されたが、佐々木主将は「どんな状況になってもやるべきことは変わりません。監督からアイデアをいただき、もう1度、基本を見直して東北のバレーを引っ張る存在になりたい」と前向きだ。

秋以降の大会開催も不透明な状況下で、仙台大でコンディショニングも学んだ村田監督は「今だからできることがある」と対話を密にして個々と向き合う。選手ごとに弱点克服のメニューも重視。「1人1人ができることを増やしたい。全体の引き出しが多くなれば競争意識も強くなる」と、練習の多くをフィジカル強化に費やす。目指すはチーム初の全国4強。村田監督は「他校や(休校中の)他県に比べれば恵まれている。結果にこだわって精度を上げていきたい」と意気込んだ。【佐々木雄高】

◆村田基(むらた・はじめ)1987年(昭62)8月20日生まれ、岩手県釜石市出身。現役時はウイングスパイカーで盛岡南1年夏の全国高校総体出場。全国選抜(旧春高バレー)に2年連続出場。仙台大3年時から学生コーチを務め、4年秋の東北地区大学リーグ1部優勝。卒業後はクラブチーム岡崎建設OwlsVBCに在籍。岩手県内の公立4校で保健体育の非常勤講師を務め、女子バレーボール部監督も歴任。今春、宮古商(現宮古商工)を退職し、盛岡誠桜に赴任。家族は夫人と1男1女。176センチ。