頂点にはあと1歩届かぬも、大躍進のシーズンだった。福島ファイヤーボンズが神戸ストークスに109-93で敗れ2連敗。3年ぶり3回目のプレーオフでB2リーグ最後の王者は逃すものの、クラブ最高成績の準優勝と歴史を塗り替えた。生まれ変わった福島が来季から新たに開幕するB.LEAGUE ONEへ向け大きな弾みをつけた。

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今季の福島を象徴するかのような粘りだった。王手をかけられ、あとがない状況。リードを許し、最終クオーター残り7分48秒、67-91と24点差。だが、希望は捨てない。じわじわ詰めより、残り1分41秒でジャック・ナンジ(27)のシュートで11点差。中野司(29)が3点シュートを沈めるなど粘ったが、最後は、西地区王者の前に屈した。ライアン・マルシャン・ヘッドコーチ(HC、38)は「誰ひとりとして満足はしておらず、悔しさが残るが、悔しさだけでこの1年の価値を消してはいけない」と口にした。

昨季は15勝45敗で東地区最下位。再起をかけマルシャンHCを新指揮官に据え、キャプテン笠井康平(32)以外は新加入選手と大革新。プレシーズンの東北カップでは3試合全敗と、新チームの構築に苦戦したが「どんな状況でも、戦えるチーム」を掲げ、短期間で常勝軍団をつくりあげた。開幕3戦目からはクラブの新記録となる18連勝を達成。昨年11月30日の福岡戦ではB2初の4度の延長戦の末、最大18点差をひっくり返す大逆転劇も演じた。昨季から大きく勝ち越し42勝18敗で東地区2位。プレーオフでも初のファイナル進出と歴史を塗り替えた。

その健闘に多くの人々が心を動かされた。ホームゲームの平均入場者数は昨季2019人を大きく上回る4239人。この日もアウェー神戸に大勢のブースターがかけつけ、中野は「ベンチ周辺をフクシャパープルに染めてくれて本当に大きな後押しとなった」と心から感謝した。

2029年にB.PREMIERへの参入を目指すクラブにとって、この1年で積み上げたプロセスは大きな糧となる。マルシャンHCは「さらに成長するためにこの悔しさを次への力に変え、来季は今季以上の飛躍を遂げたい」と、力強く誓った。【高橋香奈】