札幌を舞台にした五輪マラソンを、道産子はこう見た。札幌東京五輪の女子マラソンが7日、札幌市・大通公園発着で行われた。ハーフマラソン日本記録保持者の小椋裕介(28=ヤクルト、札幌山の手高出)、スキージャンプ長野五輪団体金メダルの雪印メグミルク原田雅彦総監督(53)、北海道マラソン完走3度のSTV佐々木美波アナウンサーが、それぞれの視点で観戦記を寄せた。

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▽小椋裕介

正直、かなり過酷なレースだったと思いました。私も千歳合宿のため6日に北海道に入ったのですが、空港を出た瞬間、あまりに暑くて「ん?」という感じでした。涼しいから夏場に北海道で練習するのですが、今回はちょっと違った。高校時代も札幌で3年間、練習しましたが、ここまで暑いのは、記憶にない。

しかも前夜に1時間のスタート繰り上げ。選手の安全を考えたら仕方ないことのなのかもしれません。自分は前の日に時間が分かれば、そこに合わせて調整できる方ですが、長い時間をかけて合わせる人もいるかと思うので。箱根駅伝のように極端に朝が早いときなどは、ちょっと大変だったかもしれません。

勝負どころは33キロ付近だったでしょうか。向かい風が強くなった。1つのきっかけで余裕ある選手と、そうでない選手の差が出る。ケニア勢らが選手同士で会話をしていた。作戦を話していたのかもしれない。日本勢は、もう1人、先頭集団にいたら連帯感みたいなものが生まれることもあり、違った展開になったかもしれない。

でも、一山さんは、あそこまでよく1人で食らい付いていった。持ちタイムを考えると、8位入賞はすごいこと。出場選手の力量を考えても、1人で飛び出して逃げ切るのは厳しいと見ていました。自分が走っても、ぎりぎりまで前についていくと思う。

現役ランナーとして、本来なら北海道で行われる五輪で、自分が走る姿を見せたかった。その思いはパリ五輪に向け取っておけたら。来年3月の東京マラソンに照準を合わせて、準備をしていきたい。(ヤクルト陸上競技部)

◆小椋裕介(おぐら・ゆうすけ)1993年(平5)4月16日、士別市生まれ。士別中では野球部も3年で全国中学3000メートルに出場し決勝進出。札幌山の手高から本格的に陸上を始め、3年時に全国高校駅伝1区で区間12位(チームは29位)。青学大では箱根駅伝7区で3、4年時に2年連続区間賞。ヤクルトでは20年丸亀国際ハーフマラソンで1時間0分0秒の日本新をマーク。フルの自己記録は今年2月のびわ湖毎日マラソンでの2時間6分51秒。家族は妻。血液型A。