1次リーグで25日にカナダを下して4連勝とし、決勝進出を決めて、銀メダル以上を確定させた女子ソフトボール代表。サプライズ選出された清原奈侑捕手(30=日立)は、控え捕手としてチームを盛り上げる。

その清原の大学時代の恩師、園田女子大学女子ソフトボール部・木田京子監督は、清原の特長を「ソフトボール愛あふれる仲間思い女子」だと話す。清原はソフトボールに対する情熱が人一倍。監督によれば、象徴する試合があるという。

大学3年生の大学日本選手権準決勝、日本体育大戦のことだった。2点ビハインドの場面で清原はレフト線を破る三塁打を放った。ホームに生還出来るかもしれないと思い、走塁した際にランナーコーチと接触。そのままアウトの判定になった。

この判定に疑問を感じ、その足で本部へ駆け寄り判定の見直しを懇願した。木田監督は「心では疑問に感じていても、こうやって行動に移す選手は、なかなかいない」。ソフトボールへの熱い思いと、勝ちにこだわる負けん気の強さを振り返った。

勝ちにこだわる情熱だけではない。清原は仲間に対する思いもまた強い。ある1人の同級生のピッチャーが一度も、公式戦出場経験がなかった。そのことに対して、清原は監督に泣きながら「私がキャッチャーとしてリードしますから、ちゃんと良いピッチングをさせるから使ってあげてください」と直談判。リーグ戦優勝が懸かる試合にも清原は自らタイムを要求し「あの子に投げさせてください。私がリードするんで」と宣言した。

木田監督は清原を信じ、その投手をマウンドへ送った。清原は抜群の配球センスで見事、優勝投手へと導いた。有言実行とはこのことだ。木田監督は「仲間のこともちゃんと思いやれる優しい子なんです」と優しい表情で語った。

清原の技術面の特徴は遊び心あふれる配球センスだ。相手の意表を突き、4球連続同じ変化球を要求したり、ピッチャーのより良いボールを引き出す配球を展開する嗅覚の良さが際立つ。清原の配球センスに対して木田監督は「ソフトボールという競技に対しての情熱を傾けられるからだと思います」と話した。

最後に木田監督は「彼女の特徴を生かしてピッチャーを支えたり、ベンチでの声かけとかで、良いきっかけを作ってくれるような存在になって欲しい」とエールを送った。

今五輪、24日のイタリア戦で7回、代打で出場(右飛)するなどしているが、決して出番は多くない。それでも、誰にも負けない熱量で、金メダルへまい進する。【三宅ひとみ】