侍ジャパンの田中将大投手(32)が25日、強化試合の巨人戦(楽天生命パーク)に先発し、2回2/3を1安打無失点に抑えた。

初バッテリーとなった梅野のミット目掛け、スプリット、スライダー、スプリットチェンジなど、カーブ以外の球種を試投した。決勝トーナメント初戦の先発を任される見込みの最年長右腕は、用意周到に五輪前最後の登板を終えた。

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日の丸を左胸にした真っ赤なユニホーム姿の田中将大投手(32)が、慣れ親しんだ仙台のマウンドに立った。

初回は11球で3者凡退。2回は2死から中島に右前打を許し首をかしげたが、続く北村は3球三振でわずか7球。3回に8球で2死を奪い、26球に到達したところで駒大苫小牧の後輩、伊藤にプレートを譲った。「とりあえず自分のやりたいことができました。あとは本戦に向けて、今日の反省を生かして調整していきます」と目元を緩ませながら、ベンチで汗をぬぐった。

わずか1試合の調整登板を有効活用した。強化合宿では、ウオーミングアップ中にも身ぶり手ぶりで会話を重ねた梅野と初バッテリー。初回から直球、スプリット、スライダー、ツーシーム、カットボール、スプリットチェンジと、カーブ以外の球種を試投。縦横、緩急自在の投球スタイルを確認し呼吸を合わせた。

チーム最年長。合宿初日から積極的に交流を図った。「(08年北京五輪で)最年少の僕より、さすがに求められるものは違うとは思っている」と自身の調整を黙々とこなしながらも、練習の合間には中堅フェンスに腰を掛け、質問に真摯(しんし)に答えた。「荷物運びも気づいたら自分がやりたい」と言葉にも責任感を込め、行動で表した。

東京五輪本番ではチーム3戦目となる決勝トーナメント初戦の先発を任される見込み。1次リーグの順位次第で8月1日もしくは2日と日程が流動的。難しい調整を強いられるが、百戦錬磨の右腕ならやってくれる。絶大な信頼、期待を一身に背負うマー君が、臨戦態勢を整えた。【桑原幹久】