18年世界選手権銅メダルの並木月海(22=自衛隊)がメダルを確定させた。

16年リオデジャネイロ五輪銅メダルのコロンビア選手に5-0で判定勝ち。3位決定戦がないため、表彰台が決まった。「一番はホッとしたのが大きいですけれど、自分が目指しているのは金メダルなので、1戦1戦、やっていきたいと思います」。女子は3日に決勝を戦うフェザー級の入江聖奈(20)に続き、2人目のメダリストが誕生した。

並木が攻めた。試合開始のゴングから持ち味のフットワークを生かし、前に出てパンチを集めた。流れに乗り、攻撃の手を緩めない。強い思いを拳に込めた。

「(今大会は)自分的には納得する試合ではなくて『世界に認められるボクシングを表現したい』と思っていました。3戦目に臨むところで吹っ切れたところがあって、本当に楽しみながらできたなと思います」

並木と入江。ロンドンから採用された女子で、日本勢初出場となった2人だが、仲間の思いも背負っている。女子だけの代表強化合宿が18年以降に行われるようになってから、階級を問わず国内のトップ選手は、長期間の共同生活を送ってきた。戦友の望みが突然絶たれたのは2月だった。

5月に予定されていた世界最終予選がコロナ禍で中止となり、該当枠は18、19年の国際大会の成績で割り当てられることに。結果、出場予定だった3人のボクサーは、戦わずに東京の道が消えた。その後の合宿を、彼女たちは辞退しなかった。ミドル級の津端は「五輪にでる2人には本当に頑張ってほしい」ときつい練習もともにした。夢破れながら妥協なく取り組む仲間の姿は、何よりのカンフル剤だった。「みんなのためにも」と挑んでいた。

準決勝は4日に行われる。

「日本の女子ボクシングはなかなか注目してもらえていなかった。今回こうやって入江が先にメダル獲得を決めてくれて、ちょっとボクシングが注目されてきた。2人でしっかり金メダルを取って、『女子の日本のボクシングも強いんだぞ』って日本の皆さんにも、世界の皆さんにも知ってもらいたいと思っています」

メダルに満足せず、2人で頂点を目指す。