ボクシング女子フェザー級の入江聖奈(20=日体大)が金字塔を打ち立てた。決勝で19年世界選手権覇者のネスティー・ペテシオ(フィリピン)に5-0で判定勝ちし、日本勢では64年東京の桜井孝雄、12年ロンドンの村田諒太に続く3人目の金メダリストに。ロンドンから採用された女子で日本から初出場し、一気に頂点をつかんだ。

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左ジャブとカウンターで良い滑り出しをみせたことで、入江の展開になった。2回に逆転されたものの、最終回は我慢し続けて最後に相手をスタミナ切れまで追い込んだ。プロとアマを通じて女子選手の中でも左ジャブ、ワンツーの基本がしっかりしている選手。ベースが徹底されたことで勝ちきれたと思う。

7年前、仕事の関係で鳥取県にいたロサンゼルス、ソウル両五輪代表の黒岩(守)さんらの橋渡しで、入江が大橋ジムに出げいこにきた。スパーリング相手を務めた男子のプロ世界ランカーを圧倒したことを鮮明に覚えている。私が日本プロボクシング協会の会長を務めていた際、プロとアマの交流が促進し、アマ女子がプロの男子と実戦練習できる機会が増えたと思う。その1つ1つの積み重ねが、東京五輪で金メダルという最高の形になり、個人としてもうれしい。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者)