100年以上にわたる五輪の歴史では、数え切れない名勝負が繰り広げられてきた。20年東京大会で再び世界が熱くなるドラマが見られることを期待して、過去の名シーンを振り返る。

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1日本576.85

2ソ連576.45

3東ドイツ564.65

前日の規定を終えてソ連に0.50差の2位。日本の逆転は不可能にも思えた。日本の5連覇を阻止しようと東側諸国の審判員が露骨に点数を抑えたからだ。大会直前のエース笠松茂の病気欠場も低評価につながった。さらに、自由3種目目のつり輪で藤本俊が負傷離脱。残された5人は、その後の3種目で1つのミスも許されないという絶体絶命のピンチに立たされた。

後押ししてくれたのは地元の大声援。日本の点数が出る度に「もっと点を」と大ブーイング。背中を押されて加藤沢男、塚原光男、監物永三、梶山広司、五十嵐久人が驚異的な集中力を発揮。最後の鉄棒も全員がノーミスで終え、奇跡の5連覇を達成した。個人戦ではライバル同士の「体操ニッポン」の選手たちは1つになって戦い、抱き合って喜びを分かち合った。※15年1月14日、日刊スポーツ紙面に掲載