男子66キロ級の阿部一二三(23=パーク24)と妹で女子52キロ級の詩(21=日体大)が、同日に金メダルの快挙を成し遂げた。

性別の異なるきょうだいが、五輪のメダルを取るのは日本初。詩は決勝でライバルのブシャール(フランス)に延長の末、一本勝ち。52キロ級で日本初の金メダルを獲得した。一二三は決勝でマルグベラシビリ(ジョージア)に優勢勝ち。66キロ級では08年北京五輪以来となる3大会ぶりの金メダルとなった。

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2年前に負けているライバルとの決勝は、阿部詩選手にとってプラスに働きましたね。いつもの超攻撃型柔道ではなく、比較的慎重に攻めたことでブシャール選手の攻撃変化に対応できたと思います。奥襟を捕まれ、肩車を狙われていましたが、詩選手は倒れることも少なく、相手の動きを見極め、最後に仕留めていました。徹底マークされており、なかなか得意の袖釣り込み腰もかけられない状況で、延長戦まで集中を切らすことがなかったことも大きかったと思います。

これまで私を含め、先輩の方々が金メダルを手にできなかった階級でした。マークされながら素晴らしい戦いをみせてくれた詩選手の経験値は大きいものになったでしょう。この五輪の経験を通じ、もっと自分の柔道に磨きをかけたいと思っただろうと想像します。何でも吸収できるタイプの選手だと思いますので、次の試合でどのように成長しているのかが今から楽しみでなりません。(08年北京、16年リオデジャネイロ五輪銅メダリスト)