16年リオデジャネイロ五輪金メダルの大野将平(29=旭化成)が決勝進出を決めた。準決勝はツェンドチル(モンゴル)との初対決。パワーで互角ながらも積極的に技を仕掛けたが、決着をつけられずに延長戦へ突入。4分54秒、小外掛けで技ありを奪って優勢勝ちした。決勝はリオ五輪銅メダルのシャフダトゥアシビリ(ジョージア)との顔合わせとなった。

準々決勝で、前回銀メダルのオルジョフ(アゼルバイジャン)に一本勝ちし準決勝に進んだ。初戦となった2回戦のライク(ルーマニア)、3回戦のチログル(トルコ)と合わせ、3試合連続一本勝ちで準決勝まで進んでいた。

リオ五輪で頂点を極めた後は、休養して天理大大学院で修士論文を執筆。約1年間の充電期間を経て、18年2月に東京五輪を見据えて本格復帰した。世界ランキング1位で17年世界王者の橋本壮市(パーク24)との代表争いを制し、五輪代表に選出された。コロナ禍以降は男女14階級の代表で唯一国際大会に出場せず、20年2月のグランドスラム大会以来の実戦が五輪となった。

有力選手の多い日本代表の中でも強さは際立ち、もっとも金メダルに近い選手と言われてきた。常に一本を狙う柔道スタイルは国内外で高く評価され、海外誌で「73キロ級のモーツァルト」と紹介されたこともある。攻撃、受け、パワーとすべてが同階級では世界トップクラス。「2度目の集大成」と位置づけた大野が連続金メダルまで、あと1勝となった。