素根輝(21)は幼少期から08年北京、16年リオ五輪女子52キロ級銅の中村美里(32=三井住友海上)を尊敬している。階級は異なるが、取り組むストイックな姿勢や多彩な足技に憧れている。

小4の時、父行雄さんの知人を通じて都内の三井住友海上で出稽古した。強豪の実業団が、稽古で小学生を受け入れるのは極めて異例。小学生ながら乱取りなどトップ選手たちと同じメニューをこなした。中村は当時について「体はそこまで大きくなかったけど、担ぎ技は強かった。きちんと投げて、足腰のバランスもよく『本当に小学生?』と疑った」と回想した。

稽古後の食事の際には、YouTubeで中村の試合を見ながら「この後、○○(技名)で勝ちますよね。どういうタイミングで入ったんですか?」などと試合状況を鮮明に覚えていたという。「小学生なのにすごく研究熱心で、その頃から柔道への熱い思いを感じた」と感心した。

小柄な体格で世界で勝つための戦術を深く考えた。「世界女王になっても満足せずに、次にやるべきことが分かっているのが素根ちゃんの強み」と11年間の成長を喜んだ。【峯岸佑樹】