東京オリンピック柔道最後の種目となる混合団体が31日、NHKEテレで放送された。日本はドイツに4-2で勝利したが、金メダリスト大野将平(29)が敗れるまさかの展開に、解説の天理大柔道部監督の穴井隆将氏(36)は「うそ、うそ、うそ…」と絶句した。

日本は準々決勝でドイツと対戦した。1つ重い57キロ級の選手と対戦した阿部詩(21)は、指導3つで反則負け。勝利の期待がかかった大野に「地力が違いますから。組んでしまえば大丈夫」「団体戦が好きな大野選手ですから」などと激励した。

熱い解説ぶりが知られる穴井氏は、消極的な相手選手に「ひどいわ。今の偽装攻撃はひどいですよ」と憤った様子。「大野選手がこれだけ我慢しているので、私も我慢します」と自分に言い聞かせるように話すと、実況のNHK三瓶宏志アナウンサーも「お願いします」と応じた。

その後も攻め続ける大野にエールを送っていたが、残り13秒で技ありを奪われると、一瞬のことに「大野!うそ、うそ、うそ…」と絶句。「慌てるな、打て、打て、打て、1発、1発!」と願うようにつぶやいたが、そのまま試合終了を迎えると「ああ~マジか…」と大きなため息を漏らした。穴井氏は「我慢強くやっていたんですけど、取ろうという意志が裏目に出ましたね」と残念がった。

後がなくなった日本だったが、続く新井千鶴(27)向翔一郎(25)素根輝(21)が連勝。最後のウルフ・アロン(25)が延長で勝利を収めると「よく頑張ったウルフ!」と拍手で祝福した。厳しい状況からの逆転勝ちに、三瓶アナが「またこれで気持ちが1つになったかもしれませんね」と話すと、穴井氏は「どんな困難にも立ち向かっていく彼らの姿勢ですね。やっぱり日本は総合力で勝っているんだと示した初戦でしたね」と興奮気味に総括した。