東京オリンピック(五輪)の首都圏無観客開催決定を受けて、大会組織委員会の橋本聖子会長(56)と武藤敏郎事務総長(78)が8日深夜、都内で日またぎの会見を開いた。橋本会長は冒頭、最終的に1都3県が観客なしに至った経緯を報告。有観客のプロ野球やJリーグの知見を生かせなかったことに「努力してきたが、五輪の観客は全国から来られる。都民、国民に開催の理解をいただくため、より厳しい措置で無観客とした」と説明し「チケット購入者には大変残念なお知らせとなり申し訳ありません」と謝罪した。

ファンが観戦を断念した一方、五輪ファミリーなど「別枠」の大会関係者の取り扱いについては武藤事務総長が回答。まず「多くのキークライアント(スポンサー)は来場できなくなる」とした上で「IOCやIF(国際競技団体)等の幹部は観客ではなく関係者。役割がある」と入場を認めた。

観客数を巡っては3週間も前ではない6月21日の5者協議で、条件付きながら「収容定員の50%以内で1万人」と決まったばかり。感染状況悪化があったとはいえ、さかのぼれば春から決定を先送りし、二転三転した反省点には橋本会長が「感染状況を見ないと決められなかった。3月に海外観客を断念した後、国内は4、5、6月と延びた。申し訳ない」と頭を下げた。

今後は必要数が減る医療従事者やボランティアとの調整が必要になる。武藤氏は「医師、看護師はほぼ確保できていたが、見直しに着手したい」と開幕直前に課題が山積。一方、危険なため緊急事態宣言が出た東京で、無観客だから安心安全な大会、という不思議な結果になった。【木下淳】