100年以上にわたる五輪の歴史では、数え切れない名勝負が繰り広げられてきた。20年東京大会で再び世界が熱くなるドラマが見られることを期待して、過去の名シーンを振り返る。

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1ルイス  (米 国)9秒92

2クリスティ(英 国)9秒97

3スミス  (米 国)9秒99

飛び出したのは前年に9秒83の世界新を出したベン・ジョンソン(カナダ)だった。連覇を狙ったカール・ルイスは追い込んだが届かず。ジョンソンが右手を突き上げながら9秒79という驚異的な世界新でゴールした。しかし、直後の検査でステロイドの陽性反応が出て、まさかの失格。世界中が注目した大会のハイライトは、思わぬ結末を生んだ。

順位は繰り上がって、ルイスが金。前年のジョンソンの記録も抹消され、この時の「2位」タイムが世界記録となった。ルイスは84年から4大会連続で五輪に出場。走り幅跳びの4連覇など金メダル9個を獲得した。これは、競泳のフェルプス(米国)が更新するまでの最多記録だった。※14年10月15日、日刊スポーツ紙面に掲載