東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会は27日、大会中のマスク非着用などプレーブック(新型コロナウイルス対策ルール集)違反が確認された際に、各国・地域オリンピック委員会(NOC)に対して「ストリクト・リマインダー」という「厳しい注意喚起」をし始めたと明らかにした。

東京・有明のメインプレスセンター(MPC)で定例会見に出席した高谷正哲スポークスパーソンが「どの国とは公表しないが、既に複数のNOCに対して個別の注意喚起を行った。いっそうルール順守に取り組んでいただけるもの、と期待している」と語った。

プレーブックに「応援は声を出さず拍手で」と明記されている中、卓球の会場で中国の関係者が大声を出して応援していた件については「今も調べている事案は複数あり、違反を確認した場合は注意喚起していく」。会場にいて順守を促すべきスタッフへの指導に関しては「見かければ、お声掛けしていく方針を各会場に伝達した。こうして望まないトラブル回避されていけば、大会の成功につながっていく」と、改善への共通認識を口にした。

日本オリンピック委員会(JOC)と全日本柔道連盟の会長を兼ねる山下泰裕氏が柔道会場でマスクを外して会話したり、禁止されているハグをしたりしていた違反について「山下氏は組織委の副会長でもある。自分たちで作ったルールを破っていいのか」と質問されると、高谷氏は「山下副会長に対して、どのような対応をしたか私は掌握できていない」とした上で「誰であれ、しっかりマスクを着けてくださいとお願いすることになる」と答えた。

毎朝、組織委と合同で会見している国際オリンピック委員会(IOC)も、マーク・アダムス広報部長が「(マスク問題は)大変重要だ。昨日も一昨日も質問された。全員がルールを守らないといけないし(非着用などの)報道が出るたびに確認している」と強調。続けて「実は柔道会場にいたが(山下氏が違反した)場面は見なかった。ただ、五輪は本当にワクワクするスポーツのイベントで、自我を忘れてしまう瞬間もあるわけだが、マスク着用はルール。今朝のコーディネーション・ミーティングでも議題になったが、これからも念押ししていきたい」と約束はした。【木下淳】