ホーム 東京オリンピック2020 ニュース RSS 際立つスポーツの力、残酷な現実…東京五輪が「分岐点」となるなら開催意義 [2021年8月9日6時0分] 通知ON 通知OFF 閉会式 各国の選手団が入場し打ち上がる花火(撮影・鈴木みどり) <東京オリンピック(五輪):閉会式>◇8日◇東京・国立競技場 新型コロナウイルスの世界的流行で史上初の1年延期となった東京五輪は8日、国立競技場で閉会式が行われ、17日間の戦いが終わった。コロナ禍で相次ぐ混乱、緊急事態宣言下での無観客開催。「多様性と調和」を掲げた大会で、史上最多の33競技339種目を懸命に戦い抜いたアスリート。さまざまな記憶とともに57年ぶりの自国開催は幕を下ろした。 ◇ ◇ ◇男子マラソンの大迫傑の顔が、達成感に満ちて、美しかった。最後の追い上げも及ばず、表彰台に41秒足りなかった。それでも「100点満点」と自己採点をつけた。コロナ禍の五輪。経験のない苦難と困難を乗り越えて、誰もがメダル以上の何かを得たのだ。開催できて良かったと思った。大会に懐疑的な空気が充満し、会場は無観客になった。それでも日本の史上最多の金メダルラッシュに列島は沸いた。選手たちの夢にまっしぐらに進む、いちずな姿は、人々のストレスを発散させ、心を豊かにし、夢や希望の火をともした。受難の中、スポーツの力、五輪の価値の大きさが際立ったように見えた。一方で有力候補たちの意外な敗北も目立った。競泳の瀬戸大也やバドミントンの桃田賢斗はメダルさえ手にできなかった。1年という時間が選手の心と体にいかに大きいか。コロナ禍の五輪は残酷だと思った。彼らにとってベストの結果ではなかったが、ベストを尽くしたのだ。胸を張っていい。それぞれの五輪。敗者などいないのだから。東京大会は、開催時期や天文学的なコスト、政治や経済の理論が優先される現実を私たちに突きつけた。それはメダル数や経済効果ではない、五輪の存在意義を考え直す転機にもなるはずだ。100年後、五輪の歴史を振り返った時「2021年に開催された東京大会が大きな分岐点になった」と言われるのだとしたら、開催した意義があったのだと思う。【東京五輪・パラリンピック担当委員 首藤正徳】