ホーム 東京オリンピック2020 ニュース RSS メダル「だけ」見ていては伝えられない 橋本の言葉に教わった/取材後記 [2021年8月10日10時3分 ] 通知ON 通知OFF 日刊スポーツをGoogleでお気に入りに追加 2020年東京五輪 体操男子個人総合表彰式 表彰台で金メダルを手に笑顔の橋本大輝 東京オリンピック(五輪)が閉幕したばかりだが、パリ五輪はもう2年11カ月先にある。新型コロナウイルスの影響で東京五輪が1年延期されたことにより、これまでで最も短いサイクルで五輪がやってくる。再び輝きを放つであろう選手たち。その候補の1人が体操男子個人で五輪史上最年少の個人総合覇者となった橋本大輝(順大)だ。 ◇ ◇ ◇メダルだけで五輪の結果の価値を判断をする、その時代は変わっていく。そんな思いを抱かせる橋本の発言だった。「メダルだけを撮影しないでほしい」。取材者として初めて耳にした。ただ、17日間、選手の声、姿を聞く中ですっとふに落ちた。開幕前、コロナ禍で各国、各選手の調整状況は異なった。制限も多く、試合に臨む環境は公平ではなかった。その中で順位がつく。では、メダルの価値とは何か。五輪であって五輪でないような気持ちがあった。迷いながら取材に走った。大会が終盤に向かう中、出会ったのが橋本の言葉だった。「人としてどうあるべきかが大事」。メダルは頂点を目指して頑張ってきていることの1つの結果であって、メダルが先にはない。五輪までの過程で、アスリートが社会に還元できるものがある。大会最終日、最後の取材は新体操「フェアリージャパン」の団体総合決勝だった。メダルを期待されながら、8位。メンバー5人は涙で周囲に「申し訳ない」と謝罪した。聞いていて、謝る必要はないと思えた。「スポーツの力はすごいなって、いろんな競技を見ていて思いました。私たちの演技を見て、世の中が明るくなってくれればいいなと求めてやってきました…」。涙声の杉本主将の言葉が響いた。結果では測れない価値は、ある。メダル「だけ」を見ていては、伝えられないものにあふれた大会だった。橋本の言葉が、教えてくれた。【阿部健吾】