名古屋市の河村たかし市長(72)が12日、東京オリンピック(五輪)ソフトボール日本代表後藤希友(20=トヨタ自動車)の表敬訪問を4日に受けた際、マスクを外して金メダルをかんだ問題で市役所で取材対応し「できる限り、後藤選手の意向に沿った形で対応してもらいたい」と話した。

その一方で、報道陣から辞職を求める声がある、可能性は? と問われると「途中ですので、もうちょっとたってから…いろいろ考えられることはあるけれど、これからということにしてください。無責任なことは言えない」とかわした。ただ、さらに追及されると「辞職するにも、選んでくれた方もおるわけで(判断するのは)相当、重い。ここで言うのは、考えます。まずいですね、1人歩きするのは…何とも言いかねる。何とも言いようがない、今の時点では、ね」と言葉を濁した。その上で「(辞職については)皆さんが言われた。(辞職が)ないと言うと…また、感じ、悪いでしょう? 辞職するにも、最終的な話であって、まともな選挙で選ばれた人間にとっちゃ重たいわけですよ。今、言うのは、勘弁させていただけないかな」と、しどろもどろな発言に終始した。

金メダルの交換費用については「個人で支払いたい」との意向という。東京五輪の金メダルは重さ556グラムとされる。金メダルには金と銀と銅が使用されており、銀が大部分を占める。単純に金属の地金価格に換算しても、金額は5万円は超えるものとみられる。

河村氏をめぐっては、4日、名古屋市役所で後藤の表敬訪問を受けた際、後藤から金メダルをかけてもらった際に、突然マスクを外して、断りなくかみついていた。

感染拡大が続く中で、市民にマスクの着用など感染防止に協力を求めている立場で、マスクを外してメダルにかみついた行動について、報道陣に問われると「配慮も足らんかった。謝るしかしょうがないですよ」などと発言。報道陣から「しょうがないとはどういうことか」と投げやりな態度を批判される一幕もあった。

今後の東京パラリンピック関連のイベントについても、市は河村氏の出席を取りやめる方向で調整しているとされるが、河村氏は「よう考えないかんことだと思っとりますけど」と話した。その上で「出たいですけど、しょうがない。自粛…周りというか役所の判断。その代わり、メッセージとか何らかの方法で、パラリンピックは近代の素晴らしい精神。伝わるように応援しますと。伝わるような文章なり、考えてくださいよと」と、メッセージを出すなどの対応はしたいとしたものの、出席の取りやめという市の調整方法に不満も示した。