東京パラリンピック聖火リレー東京都最終日は24日、代々木公園中央広場などで点火セレモニーが行われ、静岡、千葉、埼玉、東京を計1070人がつなぎ、国立競技場での開会式へ聖火を受け渡した。

パラ陸上1500メートル(T37クラス)アジア記録保持者の井草貴文(31)は、喜びと悔しさ両方の思いでランナーを務めた。「人生で1、2を争ううれしさで貴重な経験。選手が100%の力を出せる願いを込めて走った」と笑顔の一方、「本当は国立で競技をしていたかった。悔しいのひと言」と複雑な表情。幼少期から右半身にまひがあるが、日大3年時に陸上サークルの練習中、偶然居合わせた義肢装具士の目に留まって「一気に世界の扉があった感じ」とパラ競技に転向した。今年4月にアジア記録を樹立したが、東京大会出場への標準記録まで約5秒届かず。24年パリ大会に向け「今の気持ち、練習をぶらさずにいけば、納得できる結果が出ると思う」と思いを強めた1日となった。

現在は一般企業で、営業部署の事務職に就く。パソコンも「工夫次第です」と左手だけでキーボードをうつ。「パラの種目は健常者とルールが違うが、レベルは高いんです。今大会で皆さんが興味がわく1つのきっかけになればいい」。パラ競技の魅力の波及を願った。【鎌田直秀】