サッカー男子日本は、3日に史上初の決勝進出をかけて優勝候補スペインとの準決勝(埼玉、午後8時)に臨む。MF久保建英(20=レアル・マドリード)は1次リーグで初の3戦連発を記録するなど攻撃をけん引し、ここまでたどりついた。大一番の相手は縁の深いスペインという巡り合わせ。日本サッカー史に新たな歴史を刻むため、そしてRマドリードでプレーするという夢を実現するため。チームと自身の未来をも占う一戦で、勝利に導くプレーが期待される。

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4月21日、組み合わせの結果を見た瞬間、久保はこの日の舞台が頭によぎっていた。

「順当にいけば準決勝はスペインだろうなというのを、どこかで頭の片隅には置いていた」

互いに勝ち進み、思い描いていた絵は現実になった。「ここを勝って、決勝に進みたいと思います」。激闘となった準々決勝ニュージーランド戦の直後、力強く語った。

1本の芯が通った。ニュージーランド戦で、森保監督はもう1人のエース堂安を交代させた一方で、最後まで久保をベンチに下げることをしなかった。そんな指揮官の期待を、久保は力に変える覚悟がある。「俺が引っ張る、俺が勝たせるという気持ちで」。自らにプレッシャーをかけるような言葉も、今大会で初めて口にした。

戦うとはどういうことか? U-17W杯に参加していた17年10月、当時16歳だった久保は「後悔しないこと」と答えた。「逃げずに向き合って、相手に負けてないなと、試合が終わった後感じたい」。少年時代を過ごしたバルセロナ。生き残り競争は過酷だった。1つの得点、1つのミスで、人生が変わる。そんな世界を生き抜いてきたから、強国スペインにもひるまない。

夢は、Rマドリードのトップチームでプレーすることだと語った。ライバルのバルセロナ所属選手らもいるスペイン戦での活躍は、クラブに自らの価値を示すことにもつながってくる。久保にとっては運命的とも言える対スペインという巡り合わせ。日本サッカーの歴史を変えるべく臨む一戦は、自らの未来も変える戦いになる。【岡崎悠利】