東京オリンピック(五輪)開幕直前連載「恩師が語る 県勢代表選手のここがすごい!!」の第2回は、競泳男子800メートルリレーに選出された高橋航太郎(27=静岡市清水区出身、静岡東高出、自衛隊)。高橋が高校時代まで通ったアケアクラブ(静岡市清水区)の寺尾和芳代表取締役(58)が、教え子について語りました。【取材・構成=古地真隆】

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-高橋の長所は

寺尾氏 水をつかんで推進力に変える“水感(すいかん)”が、特に優れています。加えて肩、腰、膝の関節や筋肉も柔らかい。水泳選手に必要な能力の多くを兼ね備えていると思います。

-高橋の父親も競泳の選手だった

寺尾氏 父の一嘉さん(59=会社経営)は、国体で個人メドレー3位になった経験もある全国トップクラスのスイマーでした。私の東海大一高(現東海大静岡翔洋高)水泳部時代の1学年先輩で、憧れの存在でした。均整の取れた体つきや泳ぎは、お父さんそっくりです。

-高橋は27歳で五輪初出場。世間では遅咲きのスイマーと呼ばれている

寺尾氏 私からすれば、間違いなく競泳のサラブレッドです。持って生まれた能力と、これまでの努力がかけ合わさって、結果につながった。個人的には、遅咲きとは感じていないです。周囲の助言に素直に耳を傾ける、彼の謙虚な姿勢も、成長を後押ししたと思います。

-自衛隊へ入隊後に自由形に専念した

寺尾氏 大学まで、彼は個人メドレーの選手でした。退路を断ち、自由形のみに絞ったことも、良い方向に転じたと思います。

-今でも静岡に戻った際は、クラブに顔を出している

寺尾氏 日本代表に選ばれた直後の4月中旬にも、報告に来てくれました。現在、航太郎はクラブの名誉会員。クラブに通う後輩たちにとっても、憧れの存在です。

-最後にエールをお願いします

寺尾氏 五輪は、世界中の競泳選手が目標にする場所。まずは悔いなく力を出し切ってほしい。前回のリオデジャネイロ五輪では、銅メダルを獲得している種目なので、2大会連続でメダルとなれば最高ですね。

◆高橋航太郎(たかはし・こうたろう)1994年(平6)3月15日、静岡市清水区生まれ。水泳をやっていた父の影響で、幼稚園年長時から泳ぎ始め、高校卒業までアケアクラブで練習する。清水六中-静岡東高-鹿屋体大。現在は埼玉県朝霞市の自衛隊体育学校に所属。今年4月の日本選手権では、男子200メートル自由形で4位。東京五輪800メートルリレーの選考基準を満たして代表に選ばれた。185センチ、76キロ。独身。

<東京五輪競泳男子800メートルリレー日程(東京・江東区、東京アクアティクスセンター)>

◆予選 1組=27日午後8時17分、2組=同8時27分

◆決勝 28日午後0時26分