瀬戸大也(27=TEAM DAIYA)は、3位とわずか100分の5秒差の1分56秒22で4位だった。100メートルは7位で通過したが、3種目めの平泳ぎで追い上げて、150メートルを3番手で折り返したが、最後の自由形はタッチの差でメダルを逃した。

準決勝全体3位通過で、決勝は3レーン。最後の自由形の呼吸を右側でする瀬戸にとって、内側のレーンがしっかり確認できる。「速い選手が見える」と好位置を歓迎していたが、惜しくもメダルには届かなかった。それでもレース後は「今のこのコンディションで決勝に進むことができて、全力は尽くせた。もっといい結果をイメージしながら頑張ってきたが、思い通りにいかなかった。それでも開催されるか分からない中、活躍できる場所をいただけて、今はすっきりしています」と笑顔だった。

金メダルを掲げた本命の400メートル個人メドレーでまさかの予選敗退。続く200メートルバタフライは準決勝敗退。最終の200メートル個人メドレーも予選はぎりぎりの16位通過。19年世界選手権では同じ3種目で金、金、銀を獲得していた。しかし東京五輪ではメダルはおろか、決勝進出も危うい、がけっぷちだった。

恩師の助けがあった。16位通過の予選後に、昨春でコンビを解消した梅原コーチからアドバイスを受けた。「半バタ(50メートルバタフライ)みたいになっている。それではもたない」。前半から飛ばそうとしすぎて、まるで短距離種目のような泳ぎ方で体力を消耗していた。準決勝前のアップでは梅原コーチらとバタフライのテンポを確認した。3番目の平泳ぎから勝負するレースプランに決めた。大胆なチェンジで決勝をつかんで、息を吹き返した。

瀬戸には変化を恐れない勇気がある。練習の一環で、トライアスロンにチャレンジ。スイムで断然トップも、最後のランではへろへろ。女子選手に抜かれる。レースでも前半から飛ばして後半失速して抜かれても、同じ挑戦を繰り返す。負けることを恐れない。世界選手権で金4個の選手ならば、見えをはってもおかしくないが「負けて悔しさはあるけど、そういうのはないです」とけろりと話していた。

レース後は6位に終わった萩野と健闘をたたえ合った。レース前にはグータッチで気合を込めた。「公介と一緒に戦えたことは幸せでした。メダルは取れなかったけど、今はそれ以上に幸せな感じがします」。そして「まだまだ競技は続けていく。いろんな人に恩返しができなかったけど、また次のタイミングで恩返ししたい」と、早くも再挑戦を口にした。