瀬戸大也(27=TEAM DAIYA)と萩野公介(26=ブリヂストン)は、ともにメダルを逃した。

瀬戸は1分56秒22の4位で、表彰台までわずか0秒05差。萩野は1分57秒49で6位だった。16年リオデジャネイロ五輪400メートル個人メドレーで実現したダブル表彰台はならずも、ともに「幸せ」を口にした。瀬戸は日本代表に入る限り現役続行の方針。萩野は次のレースの予定はなく、今後は休養に入る。

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最も得意な背泳ぎに、萩野は万感の思いをのせた。バタフライの8番から3番に浮上。「背泳ぎでいくと決めていた」。6位だったが、悔いはない。「夢見心地。大也(瀬戸)と一緒に泳げて平井先生(コーチ)にアップをみてもらった。いつもだったら遅い1分57秒だけど、ちょっと長くてよかったかな」と笑った。

19年春に水泳を嫌いになりかけた。苦難の末に泳いだ東京でメダルも記録もないが「決勝の8人に入れてこれ以上のことはない」。

「結果にとらわれてずっと前ばかり見ていた。水泳がしんどいなと感じた時、後ろを見るとたくさんの人が応援してくれていた。なんかもう、金メダルとかメダルとか本当にちっぽけなもののように感じて。水泳を続けてきてよかったなと思います」と涙を流した。

今後は期限を設けないで休養に入る。進退について「ひと区切りか」と聞かれて「まあひとまずは。未来の気持ちは誰にもわからないけど、今ある僕の気持ちを大切にすると、この東京五輪は今までの五輪で一番幸せだった」。かつて自分の欠点を探しては落ち込む悪循環を繰り返してきた。この日は最後に「僕自身にも『ありがとう』という感謝の気持ちです」と穏やかな顔で言った。【益田一弘】