銅メダルを獲得した重量挙げ女子59キロ級の安藤美希子(28=FAコンサルティング)が28日、一夜明けて都内で会見を行った。約1カ月前に右足に重傷を負った中での出場だったが、この日は関係者に車いすを押されて入場。松葉づえをつきながら登壇した。

「今朝、メダルを持って見ると、あらためて重いメダルで価値があるメダルだなと思いました」。支えになったものは「母国開催であること、メダルをとることで競技人口が増え、次の世代につながっていくこと、ここまで支えてくださった方への感謝の気持ちを形として残したいとの思いがありました」と明かした。

最終的には先週半ばから、重量挙げの練習を再開したという。「初めてそこで少し安心できた。ただ、先週時点で重量としては70~80%。それもかなり膝が痛い状態で、本当に間に合うんだろうかと思いました」。

本番については「できて当たり前という気持ち、成功すればメダル取れる、これが終われば足の痛みから解放されるの3つで、どうにか上げられた」と振り返った。「極限状態の境目で見極めが難しかったけど、最後は限界を突破した結果、今、こういう形になってしまったが、メダルが取れてよかった」と、ホッとした表情を見せた。

小学1年生の時、父・美生(よしお)さんは突然脳出血で倒れ、右半身が不自由になった。脳内の言語をつかさどる部分にも障がいが残ったため、会話が難しくなった。安藤は優勝後のインタビューで「父にメダルをかけてあげたい」と話した。この日は「父がいるのは施設で、まだ直接電話をしていない。選手村を出てから、施設に行って、会おうと思っています。父だけでなく、母、姉にもメダルをかけてあげて、一緒に喜びたい」と、家族全員で分かち合いたいとした。