初出場した川井友香子（23＝ジャパンビバレッジ）が決勝で19年世界選手権覇者のティニベコワ（キルギス）に4－3で勝ち、金メダルを獲得した。

16年リオ五輪で姉梨紗子が頂点に立った階級で、妹が世界一になった。「いろんな競技が先にオリンピックをやっていて、金メダルを取ってる人の映像見て本当にいいなって思っていた。私も絶対にあれが欲しいって思ってここまで調整してきたので、その金メダルが取れてうれしいです」と笑顔を弾けさせた。

おとなしい少女だった。「運動は嫌い」。手芸が大好きで、習い事に通うならピアノ教室が良かった。ただ、川井家にはレスリングがあった。母初江さん（51）がコーチを務める教室に、姉と三女優梨子さん（22）が通い、試合の日は構ってもらえなかった。それが寂しかった。

小2で習い始めたが、「どんくさい。運動神経も良くないので。最後の1人残るまで練習してました」。中学卒業で辞めようとも考えていた。転機は16年4月、左肩の手術だった。練習場の隅で筋トレしかできない。仲間がマット練習で追い込むのを見ながら、考えを改めた。姉の練習パートナーとして同行したリオ五輪で、「いつか、私も」と目線が上がった。

「いつか追いつけるように」と背中を追い続けてきた姉と同じ舞台で、「運動は嫌い」だった妹は戦い抜いた。57キロ級の決勝に臨む姉につなぐ金メダルとなり「いい形でつなげられたかなと思う。明日はしっかり梨紗子のサポートして梨紗子が金メダル取れるように頑張ります」と口にした。