初出場の向田真優(24=ジェイテクト)が金メダルをつかんだ。

決勝で18、19年世界選手権銅メダルの■倩玉(中国)に5-4で勝利した。吉田沙保里が16年リオデジャネイロ五輪決勝で敗れて4連覇を阻まれた階級で、新たな主役となった。

目標とする吉田沙保里と同じ五輪チャンピオンになり「沙保里さんは何連覇もしているので比べものにならないけど、その中でも自分が出させていただくことになったので、何が何でも金メダルを取ろうと思って頑張りました」と涙ながらに語った。

セコンドについた志土地翔大コーチ(34)と19年10月に婚約した。当時は至学館大4年生。指導者と教え子の関係に、周囲からは批判も受けた。ただ、2人で金メダル舞台を目指すために、意志を貫いてきた。

昨年から東京に拠点を移し、新型コロナウイルスの影響で開催が1年延期になるなかでも、レスリング漬けの毎日を送った。自宅でウエートトレーニングをし、荒川の河川敷でスパーリングした。志土地コーチが外国選手になりきり、予行演習も重ねてきた。公私にわたって支えてくれた志土地コーチに対し「自分よりも苦しいことはたくさんあったと思うけど、いつも励ましてくれた。この大会で優勝することを目標にしてやってきたので本当にうれしいです」と感謝の思いを口にした。

5日の3試合では、少し思い切りにかける部分もあった。「次の試合(決勝)は相手の背中がつくまでぶつかって倒したい」と見据えていた。「金で終わらせて、翔大コーチの首にかけられるように」。感謝の思いを込めたその思いを現実にした。

◆向田真優(むかいだ・まゆ)1997年(平9)6月22日、三重県生まれ。東京・安部学院高-至学館大。ブラジリアン柔術の選手だった父淳さんの影響で、5歳で空手からレスリングに転向。52キロ級で14年南京ユース五輪金メダル。55キロ級で16、18年に世界選手権優勝、53キロ級で19年銀。157センチ。

※■はマダレに龍