若きオレンジ戦士の活躍に、期待しています。

 清水ユースから、FW平墳(ひらつか)迅(18)、MF滝裕太(18)、DF伊藤研太(18)の3人が来季トップチームに昇格することが決まりました。ユースから3人同時昇格は、15年シーズンに加入したFW北川航也(21)ら以来となります。

 高円宮杯プレミアリーグEASTで首位を走る清水ユースには、技術が高く、特長のある選手が多く所属しています。実際、今年4月にはユース8選手が、Jリーグ公式戦に出場できる2種登録を完了。ルヴァン杯1次リーグでは、3人がデビューを果たしました。ケガ人が重なったトップチームの事情もありましたが、巡ってきたチャンスで思い切りの良いプレーを見せました。昇格が決まった平墳と滝は、リーグ戦でもベンチ入りを経験しています。

 今季から、チームは新たな取り組みとして、ユース選手を積極的にトップの練習に参加させていました。学校やユースとの兼ね合いを考慮しつつ、キャンプから合流。学校の夏休み期間を利用して、多くの選手が参加しました。高体連と違い、Jクラブの下部組織はプロの育成を担っています。内藤直樹強化部長(49)は「素直に(トップの)練習に当てて、どうリアクションをするか。環境が大事になる。クラブとして環境を整えて、(ユース選手が)体で覚えることが大事」と話していました。ユース選手はトップチームのサッカーを肌で感じ、伊藤は「守備面でまだまだだだと感じました」。滝も「細かいところが足りないです」。平墳は「技術面で大きな差がありました。これから縮めたいです」と課題を口にしました。新加入前に、それぞれが気づけたことは、大きな収穫と言えます。

 プロ入り後の活躍が楽しみな一方で、厳しい道のりが待っています。即戦力として、プロ1年目から主力になるには大きな壁があります。北川も1年目はJ1で7試合出場のみ。2年目の昨季はJ2で30試出場合9得点と一気に飛躍し、今季は18試合3得点と定着しつつあります。内藤強化部長は「18歳も30歳もプロはプロ。選手が一生懸命取り組むことが大前提で、長い目で見ていくつもりです」と話していました。

 実は清水ユース出身者で、大学を経て清水入りした選手はまだゼロ。今年、トップチームの練習に参加した中で、昇格できなかった選手は大学を経て再びプロを目指すことになります。内藤強化部長は「いろいろな経験をした人材がいてこそ、チームが強くなる。大学での気付きもある。今後も継続して、追っていきたいと思っています」。彼らの清水への「復帰」を、サポーターも待ち望んでいます。


 ◆保坂恭子(ほさか・のりこ)1987年(昭62)6月23日、山梨県生まれ。埼玉県育ち。10年入社。サッカーや五輪スポーツ取材を経て、15年5月から静岡支局に異動。今年はJ1清水とJ3藤枝の担当。