黒星発進したなでしこジャパンが、運にも見放された。前半40分にMF阪口夢穂(28=日テレ)がサイドチェンジしようとしたボールが、主審に直撃。そのこぼれ球をオーストラリアに拾われ、痛恨の2失点目を喫した。審判に流れを乱され、地元大阪出身の阪口は「おい、おい!」とあきれ顔。地の利を生かせず、悪夢のような展開になってしまった。

 なんでやねん! 寒風吹く大阪でそんな叫び声が響いた。“事件”は前半40分。中盤右寄りでボールを持ったMF阪口が、左サイドへ長いボールを蹴った。低空の弾道は、中央付近にいたイタリア人のビトラノ主審の方向へまっしぐら。同主審は横には動かずに、その場にしゃがみ込むようによけるとボールが直撃。それを相手に拾われると、もう日本守備陣は追いつかない。結果的に審判の“アシスト”で負けた。

 地元大阪出身の阪口は、思わずツッコミを入れた。

 「逆サイドに展開しようとしたら、当たってしまった。(審判が)よけようとして(逆に)ボールに当たっていましたからね。さすがに『おい、おい!』って思いました。『よけて当たるか~?』って」

 不運すぎる失点-。それが影響して黒星スタートになったのだから、笑えない。抗議することもできず、泣き寝入りするしかない。MF川澄は「ああいうこともある。審判は石ころみたいなものなので、ネガティブになってはいなかったです。(失点で)0-2になったのは、いい状況とは言えないですけれど」とあえて冷静に振る舞った。

 地の利を生かせず、運に見放され、勝利もスルリと逃げてしまった。優勝した11年W杯で全試合先発した経験豊富な阪口でさえ「アンラッキーとしか言いようがない」と苦笑い。その上でダメ押しとなった3失点目も「ダメージ的には痛かったです」とボソリ。モヤモヤを抱えたまま、中1日でリオへの道は続く。【益子浩一】

 ◆サッカーの主審 競技規則第9条「ボールインプレーおよびボールアウトオブプレー」によると、ボールがフィールド内にいる主審または副審からはね返った場合にはインプレー(プレー続行)になるとされている。