サッカーワールドカップ・ロシア大会(6月14日開幕)を目指すMF香川真司(29=ドルトムント)が、最終選考に生き残った。18日、国際親善試合ガーナ戦(30日、日産ス)の日本代表メンバー27人が発表され、昨年10月以来7カ月ぶりに復帰。神戸市内で自主トレーニング中に吉報を受けた。昨年11月の代表落選、今年2月の左足首負傷から復活。「選手生命を懸けてでも出たい舞台」と2大会連続のW杯出場へ悲壮な覚悟を示した。

 日本の10番、香川が帰ってきた。午後1時。メンバー発表の瞬間は、無心で迎えるため芝上で汗を流していた。生まれ育った神戸での自主トレ後、選出を伝え聞き「身が引き締まる思い」。選外となった昨年11月と今年3月の欧州遠征で、異例の全4試合を現地観戦したほど愛着のある代表へ舞い戻った。「不安も恐れもない」。あるのは「誇りと責任感」と力を込めた。

 今年2月10日に左足首を負傷し、今月12日のブンデスリーガ最終節で途中出場するまで3カ月かかった。会見で西野監督から「選手生命(にかかわる)」とまで心配されたが「そんな大けがじゃない」と即答し、笑顔。状態は極めて良く、14日の帰国当日から自主トレを重ねてきた。この日も1時間50分みっちり。最後のシュート練習では美しいループ弾から力強い直線系まで快調そのもの。だからこそ言葉に決意が宿った。

 香川 選手生命が懸かっていたとしてもW杯に出たい。それだけの舞台。集大成の覚悟で全力を尽くす。

 最終的には27人から23人へ。西野監督にドイツ・ドルトムントまで足を運んでもらった今月2日は、左足首の軽傷でMRI検査を受けたため、練習している姿を見せられなかった。しかし今回は、21日からの代表合宿(東京近郊)で健在を示すチャンスがある。指揮官からの「替えの利かないプレースタイル。トップ(の状態)に戻っていてほしい」との期待に、応える自信がある。大丈夫、問題ない、は誰でも言える。結果を求められる中で「言葉ではなくピッチで証明したい」と闘志をみなぎらせた。

 4年前は1次リーグ敗退。失意の10番はW杯後、マンチェスターUとドルトムントでファンハール監督からシュテーガー監督まで5人に師事してきた。日本でもアギーレ氏からハリルホジッチ氏、そして西野監督に代わったが「動じることはない」と監督交代の荒波を乗り越えた経験がある。「ガーナ戦は個人的にはアピールの場になるけど、経験ある立場としては日本を1つにしたい。(6月19日の)コロンビア戦から逆算しているし、勝つために何ができるか」とリーダーも自任した。W杯開幕まで1カ月。「最後は実力」と言い切る香川が、再び10番を背に、日本の躍進に人生を懸ける。【木下淳】