【バンコク(タイ)9日=杉山理紗】東京オリンピック(五輪)で金メダルを目指すU-23日本代表は、サウジアラビアに敗れた。後半の立ち上がりに先制を許し、MF食野亮太郎(21=ハーツ)が同点ゴールを決めるも、PKを決められ、1ー2で敗れた。グループBはシリアとカタールも引き分けるなど混戦模様。次戦は12日、シリアと対戦する。

唯一の海外組、MF食野が同点ゴールを決めた。1点を追う後半11分、左サイドでMF杉岡からパスを受けると、ペナルティーエリア内に切り込んで右足でシュート。力強い弾道を描いたボールは相手DFに当たってゴールに吸い込まれた。食野は「よっしゃー!」とガッツポーズし、全身で喜びを表した。

トレーニングの成果が、アジアの舞台で脚光を浴びた。今夏スコットランド1部ハーツに移籍後、新たなリーグで対峙(たいじ)する相手の強さに面食らった。「スコットランドは相手の体が強いので、当たられてもブレないような足腰、軸がぶれないような体幹の強さを意識して、腹回り、ケツ回りの太さを意識して、太くできるように取り組みました」と筋トレに着手。効果は「まだまだ」と本人は話すが、この試合ではボールを保持した状態で相手に体をぶつけられても、ほとんど当たり負けしなかった。

得点場面以外でも輝きを放った。ワントップのFW小川になかなかボールが収まらない展開の中、2列目でボールを受けると、積極果敢にドリブル突破。11月のU-22コロンビア戦後はチームでシュート練習にも励んでいるといい、きわどいシュートを何本も放った。近距離からのシュートをふかさない技術は、練習のたまもの。遠い異国の地で黙々と積み重ねた努力が同点弾を生んだ。

招集メンバーの中で唯一の海外組である食野は、決勝トーナメント以降の参加が未定。所属クラブと日本協会との交渉次第となる。「参加できる期間でチームが勝ち進んでいけるように、自分のゴールやアシストで貢献できたら」と話す食野が、日本をアジアの頂点へ押し上げる。

▽森保一監督のコメント「スタジアムに応援された方、日本でテレビを通して応援された方に勝利を届けられず残念に思う。難しい試合になると思っていた。そこで先制されて追いついて、そこから選手達が試合を支配して勝ちに持って行ければ良かったんですけど…連携のミスが出てしまった痛い敗戦になった」