名場面に名言あり。サッカー界で語り継がれる記憶に残る言葉の数々。「あの監督の、あの選手の、あの場面」をセレクトし、振り返ります。

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「日本に帰ってよかった」。

15年5月27日。U-20(20歳以下)ワールドカップ(W杯)韓国大会に15歳で出場したFW久保建英が口にした。

スペインの名門バルセロナの下部組織で育てられたがクラブの規約違反で帰国を余儀なくされ、15年5月に東京の下部組織に加入。早くからポテンシャルの高さを見せつけ、2段階の飛び級で同大会メンバーに選出された。

自身初の国際大会となったU-20W杯は帰国から約2年後のこと。その間、J1やJ3、ユース年代とめまぐるしく環境を変えながら実戦をこなした。常に新鮮な刺激に触れることは、久保にしかない経験にもなった。「自分がイメージしていたより2倍も3倍も早く成長できている」。

バルセロナでプレーし続けたかった思いは当然あった。「最初は、なんで(日本に)戻らなければいけないんだろうという気持ちもあった」と正直な思いも明かしていた。それでも15歳ながらに環境に一喜一憂せず、常に前を見続ける力。それが今の久保を形づくっている。