日本代表が5日、今年初の活動となるオランダ・ユトレヒトでの合宿初日を迎えた。

新型コロナウイルスの影響もあり史上初のオール海外組という編成。9日にカメルーン、13日にコートジボワールと国際親善試合を行う。「サムライブルー リスタート」と題し、今年初の代表活動にスポットを当てる。1回目は日本協会の田嶋幸三会長(62)にインタビュー。コロナ禍の今、活動を再開させる意義などについて聞いた。【取材・構成=浜本卓也】

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田嶋会長に、安堵(あんど)感はみじんもなかった。欧州で新型コロナの感染が再拡大している状況での、今年初の代表活動。「最後まで、試合ができるかどうかが心配ですね」と口元を引き締めた。コロナ禍で、日本代表が海外で活動するのは異例。リスクもある中、入念な対策を施したうえで欧州遠征実現へとかじを切った。

田嶋会長 代表チームは日本サッカー界にとってのシンボル。1試合もないのはありえない。まず実現して、見てもらう機会をつくることを最優先に考えた。

3月、自身も新型コロナに感染して入院した。医療関係者をはじめ、多くの人の懸命な姿に励まされた。元気をもらった。今度は自分たちが返す番だと自認する。代表選手が躍動する姿も、人々の力になると信じている。

田嶋会長 久しぶりに代表チームのユニホームを着てプレーする機会をお見せできる。お待たせしましたとしか言いようがない。コロナ禍に打ち勝ってサッカーの試合ができてくるというのは、来年のオリンピック(五輪)開催にもつながると思っている。

欧州ではサッカーの国内リーグ戦だけでなく、代表チーム同士のネーションズリーグも開催している。ウイズコロナで、大規模な大会を再開させている。欧州合宿で得た知見は、他競技と共有していく。

田嶋会長 今回、試合をする両チームへのPCR検査を徹底しますが、欧州はオーダーをすると、すぐそういう(検査ができる)会社がたくさんある。しかも他国の試合をオランダ政府が認めてくれたことにも感謝しかない。欧州はいろんなものが動き始めているんだなと感じているところです。欧州の状況も持って帰って生かしたい。

来年には延期となっているワールドカップ(W杯)カタール大会のアジア予選、東京五輪とサッカー界は大一番の連続となる。その前に活動を再開させられることが、何よりも大きい。

田嶋会長 長きにわたってJリーグを含めて選手を育成してきたからこそ、欧州にこれだけ選手たちがいた。本当にありがたい。残念ながらJリーグの選手を呼べなかったが、逆に今まで選ばれていない選手たちが入ってきたので、その選手たちが活躍するのは楽しみ。あんまり得意としていないアフリカ勢としっかり戦う力を、経験を積んでほしい。力をつけてほしい。

感染防止と代表強化-。この両輪をしっかりかみ合わせられることをオランダ遠征で示し、東京五輪と22年W杯への道筋をつくる。