2枚看板の穴を悔しさをベテランが埋める。サッカー日本代表は、W杯カタール大会アジア最終予選で27日に中国戦、2月1日にサウジアラビア戦(ともに埼玉)に挑む。DF吉田麻也(33=サンプドリア)、DF冨安健洋(23=アーセナル)を故障で欠く厳しいホーム2連戦。吉田からメッセージを受けたDF長友佑都(35=東京)が、勝利を届ける。

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「今回行けないけど、佑都頼んだ」。長友の元にメッセージが届いた。差出人は吉田だった。2歳下の後輩から、愛情ある“タメ口”。短い言葉の中に含まれた意味を受け取った。長友は「その期待に応えられるように、頑張るしかないなと思います」。グッとかみしめた。

約1週間前のことだった。吉田の故障を知り、すぐさま連絡した。「僕もちょっと心配だったので、今回代表もありましたし」。やりとりを重ねた中で、託されたメッセージ。かわいい弟分でありながら、日本代表を長くけん引してきたキャプテンでもあり、最終ラインの大黒柱が中国、サウジアラビアとのホーム2連戦にいない。加えて冨安も不在。B組最少3失点を誇る2枚看板を欠くが、長友は「日本にはたくさんいい選手がいるし、しっかり戦える選手がいる。僕自身は心配していない」と胸を張った。

大きな穴を埋めていく。「吉田と冨安は精神的な強さ、安定した強さを持ってるというところが強み」と称す。だからこそ、自身の役回りは分かっている。アジア最終予選に限れば、吉田、冨安の2人がそろわないのは森保ジャパン体制で初めて。イレギュラーの状態だからこそ「落ち着かせるといいますか、大丈夫だよって、全然問題ないよっていうふうに、ポジティブな精神状態にさせるというところも僕自身の役割かなと思っている」とサポートする。

練習から明るい空気をつくった。千葉市内で始まった合宿。底冷えの中、先頭に立ち、声を出し続けた。FW大迫、DF酒井らの輪に交じり、軽快な動きで笑いも取った。吉田へ吉報を届けるため-。14年ブラジル大会からW杯で共闘してきた戦友。「吉田の存在が、気付かないくらいと言いますか、気付かないくらい本当に(代表に)定着してますね、吉田さん」と笑った。2連勝し、「佑都」から「吉田さん」へメッセージを届ける。【栗田尚樹】