サッカー女子日本代表なでしこジャパン(FIFAランキング11位)は5日(日本時間同午後5時)、W杯決勝トーナメント1回戦でノルウェー代表(同12位)と対戦する。MF宮沢ひなた(23=マイナビ仙台)は1次リーグ3試合で4得点とチームをけん引。あと1点で、澤穂希が11年ドイツ大会で記録した日本選手のW杯1大会最多5得点に並ぶ。成長を見守ってきた母貴代さん(50)は娘の活躍ぶりに驚きながらも、ここからさらに輝きを放つことに期待を寄せた。【取材・構成=岡崎悠利】

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テレビ画面が涙でかすんだ。22日のザンビアとの初戦。愛娘が前半43分にチーム第1号ゴールを決めた。貴代さんは「感情の整理が追いつかなくて」。驚きのあまり、うれし涙が出たことを照れくさそうに明かした。この試合は後半17分にも得点し、3戦目の強豪スペイン戦も先制点を含む2得点。チームの快進撃をけん引する活躍ぶりだが、「まだ実感がわきません」と胸の内を口にした。

宮沢は、前回19年のフランス大会ではトレーニングパートナー。21年東京五輪でも、メンバー発表会見で名前が呼ばれることはなかった。サッカー人生では悔し涙を流す姿を目にする方が多かった。貴代さんは言う。「友達と遊ぶ時間もなく、高校時代は家族と過ごす時間も年に数回。SNSも使わず、いろんなものを犠牲にして打ち込んでいた。だからこそ今があるのかな」。ついにつかんだ大舞台。娘のはじけるような笑顔に、心を打たれる。

兄の影響で3歳から始めたサッカー。クラブでは男子に交じってボールを追った。練習に向かうときは、いつもハッパをかけた。

貴代さん「男の子には?」

宮沢「負けない!」

笑顔満点の玄関先でのこのかけ合いが、合言葉だった。ボールがおなかに当たってうずくまっても歯を食いしばって立ち上がる。そんな姿を何度も見てきた。

「泣き虫だった」娘は、強くたくましくなった。「周囲を明るくできるように」と願ってつけた「ひなた」という名前の通り、なでしこの挑戦の道を、照らしている。

今も、試合前には決まってLINEでメッセージを送り合う。

「ノルウェーには?」

「負けない!」

娘に聞けば、変わらない笑顔と明るさにあふれたあの答えが、きっと返ってくるはずだ。

◆宮沢ひなた 1999年(平11)11月28日、神奈川県南足柄市生まれ。ポジションはMF。3歳で向田サッカークラブで競技を始める。中学時はOSAレイアFCに所属し、星槎国際高に進学。18年、法大入学と並行して日テレ東京Vに加入。21年にマイナビ仙台に完全移籍。各世代別の日本代表に招集。A代表は18年11月11日の国際親善試合ノルウェー戦でデビュー。22年1月30日の女子アジア杯タイ戦で初ゴール。国際Aマッチ26試合、8得点。160センチ、48キロ。50メートル走6秒8の快足が武器。