【グラスゴー=佐藤成】日本代表(FIFAランキング19位)に5カ月ぶりの復帰を果たしたGK鈴木彩艶(23=パルマ)が、一時は握力8キロまで落ちていた左手で、神セーブを披露した。

敵地スコットランド代表(同38位)戦の前半8分、最初のピンチで鬼の反射神経を発動。サイド攻撃から相手のエースMFスコット・マクトミネイ(29=ナポリ)に飛び込まれ、フリーで左足を合わせられたが、左手1本ではじいて完封勝ちに貢献した。

試合後は充実感あふれる表情で「非常に難しいゲームでしたけど、キーパーとしてもチームとしてもゼロで抑えられたのは良かったかなと思います」と勝利をかみしめた。

その手は昨年11月、中指と舟状骨を複雑骨折していた。セリエAのACミラン戦で負傷。握力が小学校1年生の女子児童平均である8キロまで落ち、ペットボトルのキャップを開けるのも苦労するほどの状態だったという。

6月に開幕するFIFAワールドカップ(W杯)北中米大会の日本代表メンバー発表前、最後の活動に間に合わせた。

「4カ月という初めて経験するリハビリ期間だったけど、常にW杯という目標を持ちながら、その先を見ながら(リハビリ)できたかな」

まだ完治はしておらず「痛みと付き合いながらやらないといけないところはある」としながらも、納得のカムバックを遂げた。「手術を受けた3日後からガンガン動き出していたので。左手は使えなくて握力も8キロとかまで落ちたけど、そこも回復して、今は右と遜色ない感じになってきている」。右の握力は60~70キロあり、左も50近くまで戻ってきた。

その左手で立ち上がりの危機を防ぎ、波に乗った。止めたマクトミネイは、イングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドで下部組織から育った中心選手だ。24年からは、鈴木と同じセリエAのナポリでプレーする。

スコットランド代表としては、昨年11月のW杯欧州予選の最終節デンマーク戦でオーバーヘッド弾を決めて、チームを1998年フランス大会以来28年ぶりの本戦に導いた。この日の会場、聖地ハムデンパークの近隣にある建物には、そのバイシクルシュートを放つ姿が壁画になっていた。

そんな大黒柱を阻んで士気を上げると、後半10分にも、DFロバートソンのシュートを左に横っ跳びセーブ。復帰戦から輝いた。

最後に日の丸を背負ったのは昨年10月14日。「王国」ブラジルに3-2で逆転勝ちし、歴史的初勝利を収めた一戦に先発して以来の試合で、期待に応える1-0の完封劇を演じた。

次は31日(日本時間4月1日)のイングランド戦。鈴木は「より強豪というところもありますけど、僕たちをトライする立場として、今日の反省点を生かして勝利を目指したいと思います」と誓った。

W杯へ、頼もしい守護神が帰ってきた。

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