枝野幸男官房長官は2日、サッカーの女子W杯で初優勝した「なでしこジャパン」に対する国民栄誉賞授与を正式に発表した。国民栄誉賞は19例目で、団体の受賞は初めて。枝野氏は会見に先立つ閣僚懇談会で、女子サッカーに対する支援拡充を検討するよう高木義明文部科学相に指示した。優勝に続く2度目の朗報に選手の地元や関係者は喜びに包まれた。

 国際サッカー連盟(FIFA)主催大会での日本の優勝は、男女を通じ史上初の快挙だった。日本国内では「なでしこフィーバー」がわき起こり、国民栄誉賞の対象となる「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与える顕著な業績があった者」にふさわしいと判断された。

 枝野官房長官は「最後まであきらめないひたむきな姿勢が国民にさわやかな感動と、東日本大震災などの困難に立ち向かう勇気を与えた」と授与理由を説明。7月25日の会見で枝野氏は、なでしこジャパンに国民栄誉賞を授与する意向を表明。政府が最終調整を進めていた。

 枝野氏から女子サッカーへの支援拡充の検討を指示された高木文科相は、なでしこジャパンについて「みんながそれぞれの持ち場で力を発揮して奇跡的な勝利を呼んだ。東日本大震災を受け、国民が互いに力を合わせる時代背景の中で心を打たれ、励みになった」と述べ、選手個人に対する助成金の増額や、なでしこリーグへの支援拡大を検討する方針を明らかにした。

 現在、トップ選手にはサッカーくじなどの収益から、1人月額10万円が支給されている。助成金を担当する日本スポーツ振興センター助成課の関係者は「国からも早急にと言われている。1カ月以内には結論が出るのでは」と話しており、最大で1人当たり10万円が増額される見込みだ。代表クラスの選手への支援に加え、代表選手の大多数が所属するなでしこリーグの活性化や、競技環境が整備されていない中学生年代の受け皿づくりなど、代表を下支えする環境づくりへの期待も膨らむ。