【ドーハ=29日】リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねるU-23(23歳以下)アジア選手権の決勝が今日30日、行われる。既に五輪出場権を獲得した日本と韓国の因縁対決。A代表が出場した11年アジア杯以来のアジア王者を目指す手倉森誠監督(48)が公式会見に出席。「地球が滅亡するまで両国の戦いは続く」と燃える申台龍(シン・テヨン)監督(45)率いる韓国へのリベンジを誓った。

 公式会見のひな壇に立った手倉森監督は、後から来た申監督を笑顔で迎え、握手をかわした。第一声で「今日は寒い。半袖で来てしまったのは判断ミス。明日の決勝は判断ミスできない」と笑わせ、負傷者に関する質問にも「(鈴木)武蔵が出られません」と公表。アジアの覇権争いを控えても余裕を漂わせた。

 因縁深い隣国とのファイナル。序盤は冷静なやりとりが続いたが、徐々に本音を隠せなくなっていく。12年ロンドン五輪の3位決定戦に話題が及ぶと「日本は0-2で負けた。4強だけでも大きな躍進だが、当時の日本国内は韓国相手に銅メダルを取れなかった敗戦の方が大きく取り上げられた」。今回の決勝も「日本は五輪切符を獲得して祝賀ムードだと聞いているが、勝つか負けるかでムードは一変する」。胸を張って帰るためには勝つしかない。

 会見後、申監督が「地球が滅亡するまで韓国と日本の戦いは続く」と発言していたと伝え聞くと、さらに火がついた。「Jリーグには多くの韓国人がいる。我々が鍛えてあげているようなもの」と指摘し「自分は選手でも監督でも負けている。借りを返したい」と続けた。現役時代の86年、アジアユース選手権で韓国に2-4で敗れ、ワールドユース(現U-20W杯)出場を阻まれた。監督としても14年の仁川アジア大会(韓国)準々決勝で対戦し、0-1で敗戦。「最も負けられない国」と言い切った。

 高め合ってきた歴史は認識している。「86年のメキシコW杯に韓国が(32年ぶりに)出た時、日本もW杯に出たいと思わされ、強くなった」。ただ、韓国が世界新の8大会連続五輪出場を決めたこと、五輪予選で34戦負けなしの記録を継続中と聞くと負けん気があふれる。「偉大な歴史。だからこそ日本が止めたい」。

 A代表は同じカタールでの11年アジア杯、23歳以下の代表は10年アジア大会を最後に王座から遠ざかる。手倉森ジャパンも14年の結成以降、イラクと韓国に敗れた。イラクには準決勝で借りを返した。決勝でもリベンジできれば物語が完結する。ドーハの決戦、最終章。宿敵をたたき、アジアの頂に立つ。【木下淳】