2年ぶり25度目出場の藤枝東(静岡)が、1回戦で敗退した。80分間を0-0で終え、PK戦で3-4。後半に迎えた再三の好機を生かせず、PK戦では相手の1人に対して2人が失敗して力尽きた。「サッカー王国静岡」の威信をかけて目指した全国制覇の夢は、後輩たちに託されることになった。

 イレブンは、ぼうぜんとピッチに立ち尽くすしかなかった。0-0で突入したPK戦。GK細川修造(2年)が香芝(奈良)2人目のキックを止め、一時は優位に立った。しかし、続く3人目のDF村松正規(2年)4人目のFW岩田寛生(2年)が立て続けに失敗。最後は香芝の5人目に決められ、前回出場の13年に続く初戦敗退が決まった。

 2年ぶりの県代表として日本一を目指したが、勝って年を越すこともできなかった。MF渡辺航平主将(3年)は、言葉を絞り出すように言った。「決めるべきところで決めなければ、こういう試合になる。PKにしてしまった自分たちの力不足。多くの方々に応援していただいたのに申し訳ないです…」。

 県選手権初戦から7試合連続無失点も、1点が遠かった。後半8分、渡辺航のアーリークロスにFW山田盛央(3年)が頭で合わせた。直後、反転して左足を振り抜いたが、GKの好守に阻まれた。無得点に終わったエースは「自分が決めていれば。悔いが残ります」と自身を責めた。

 最後まで香芝の5バックを崩すことができなかった。小林公平監督(31)は「相手は(守備の)バランスが悪かったが、そこを突くことができなかった」と言った。昨年度の静岡学園や昨夏の国体県選抜も同様に、主導権を握りながらも崩しきれない。「サッカー王国静岡」が直面する現状を表すかのような敗戦だった。

 それでも、現チームは先発11人中7人が1、2年生。就任1年目で全国選手権の舞台に立った指揮官は「この負けを『悔しい』だけで終わらせてはいけない。3年生のためにも次のステップにつなげていく」と誓った。今大会で突きつけられた現実を受けとめ、全国で勝てるチームを目指してもう1度出直す。【前田和哉】