香芝(奈良)がサッカーどころ静岡の藤枝東を撃破し、全国初勝利を挙げた。PK戦に持ち込み、勝利。大会直前に頭を丸めて臨んだ2年生GK藤井佑輝也(ゆきや)が相手PKを2本止めた。過去4度優勝の古豪との対戦が決まった直後は「くじ運が悪い」と嘆いた香芝だが、3度目出場で待望の初白星。2回戦は明日2日に行われる。

 3度目の出場で全国初勝利だ。「こんな(緑の)芝でサッカーができるって幸せでした」。80分間を耐えて迎えたPK戦。香芝のGK藤井は5本中逆を取られたのは1本だけ。ボールの軌道に向かって跳んだ4本中2本をはじき、勝利を呼び込んだ。

 米原監督は言う。「サッカー王国静岡と違って、奈良県には緑のグラウンドがない。冬になると枯れてしまう。静岡はチームの練習場も人工芝だったり、環境が違いすぎる。うらやましいけど、だからこそ勝ちたい気持ちは強かった」。

 組み合わせ抽選で対戦相手が藤枝東に決まり、イレブンからはブーイング。さらに表敬訪問した香芝市の吉田市長からは「ラグビーでは日本が南アフリカに勝っているし、サッカーでもぜひ番狂わせを起こしてください」と言われた。選手は周囲から「今は全国レベルが均衡してるから、勝てるよ」と慰めのような言葉を無数に聞いたという。

 藤井は「逆に我々はやってやろうと気合が入った」。12月28日に星稜との練習試合で2-4で負け、自らのミスで2点を失い、ソフトモヒカンを丸め、気合を入れ直した。さらに3日前に4バックから5バックに変更し、今大会用の守備的戦法も決定したばかり。

 米原監督は「プラン通り。耐えるための準備をしてきた成果が出た。個々の力では勝てないので、ゴール前の枚数を増やして守ろうと思った」。過去2度の出場はすべて初戦敗退の香芝が、選手の気合と指揮官の戦術が合致して記念の初白星をつかんだ。【盧載鎭】