仙台育英(宮城)がDF今野太勢(3年)の2得点などで、4-2と一条(奈良)に快勝し、2年連続の初戦突破を果たした。

前半14分、DF堀江凜太郎(3年)の左FKを、DF小林虎太郎(2年)が頭で折り返す。ゴール前中央で今野が185センチの長身を生かしてヘッド弾を決めて先制した。同24分にも今野がPKを左足で落ち着いて決めて2点目。今野は「自分の頭を越したら、もう1度折り返すのは約束事。良いボールが来ました。1試合2得点は生まれて初めて。自分でも驚いています」と笑顔を見せた。

プロ野球楽天の本拠、楽天生命パーク宮城が校庭からも見える東華中出身。中学時代は個人での県選抜などの経験はなく、チームも総体で地区1回戦負け。「正直、仙台育英に入るかどうか迷った。クラブチーム出身や、東京などからも来る選手がいる。技術の差が歴然でした。試合に出ることすら自分にとってはチャレンジでした」。前回の選手権敗退後の練習試合後に、城福敬監督(61)からのひと言が、心の支えだった。「身長が高いんだから、競り合いの強さを極めろ」。15分間、セットプレーだけを繰り返す“紅白戦”が鍛錬の場であり、アピールの場だった。「ゴールキックのクリアから鍛え直し、相手ボールを跳ね返してナンボだと思ってやってきた。その成果が少しは出たと思うが、2失点したことは反省です」。後半24分に左足けいれんで退場したが、充実感に満ちていた。

1月2日の2回戦では岡山学芸館(岡山)と対戦する。「得点よりも、失点しないことが重要。0-0でもPKで勝てばいい。どんなことがあっても、勝ちきるチームになりたい」。目標に掲げる同校史上初の決勝進出に向け、好発進した。