12年度大会以来の準々決勝に臨んだ帝京長岡(新潟)が、また「壁」にはね返された。尚志(福島)に0-1で負け、新潟県勢初の4強入りを逃した。前半22分、パスミスから尚志FW染野唯月(2年)に得点を決められると、相手を上回る13本のシュートを放ち反撃も得点に結びつかなかった。ただ多くの2年生がピッチを踏んだことは収穫。次大会につながる8強となった。

たった1回のミスだった。準々決勝でワンプレーが致命傷になった。前半22分だ。DF小泉善人(3年)の中盤へのパスを、相手FW二瓶由嵩(3年)に拾われた。FW染野へのスルーパスから先制を許した。「ボクのミスから、ふがいない結果になってしまった」と目を赤く腫らしながら主将は言った。

もっとも終了を告げるホイッスルが鳴るまで誰もが勝負を捨てなかった。後半は相手のシュート2本に対して9本。「帝京長岡の選手で良かったと、心の底から思う」と小泉が負けても言えるような分厚い攻撃を何度も仕掛けた。だが、ゴールは遠かった。後半19分にDF長渡慧汰(3年)が放ったロングシュートはクロスバーを直撃。打っても打っても、得点できなかった。

古沢徹監督(33)は「準々決勝を越えるだけの準備ができなかったことはスタッフの責任」と言ったが、初戦敗退した16年度大会を教訓に準備してきた。前回大会直前には一部のメンバーが胃腸炎、インフルエンザでリタイア。試合には主力2人が欠場した。今回は不測の事態に備え、宿舎には無人の部屋を1部屋用意。体調不良の選手を隔離する方針を取ってきた。組み合わせ抽選後に宿舎を決め、大会前に食事のリクエストも出した。そんな入念な準備でも県勢初の4強に届かなかった。「ベスト8以上は簡単ではない」。

先発メンバーに2年生が6人入った。目標の高校日本一へ、来年度につながる布陣だった。FW小池晴輝(3年)は「下級生は日本一になる可能性も、能力も持っている」と期待する。最上級生の思いに応えるようにMF谷内田哲平(2年)は言い切った。「(日本一への)重圧は苦しいが、日本一になれる力は持っている」。県勢初の4強以上へ、分厚い壁の“粉砕”への準備はこの日から始まる。【涌井幹雄】