青森山田が流通経大柏(千葉)を3-1で下し、2大会ぶり2度目の優勝を飾った。J2福岡入りが決まっているセンターバックのDF三国ケネディエブス(3年)を中心に、強固な守備陣がセットプレーからの1失点のみに抑えた。三国とDF橋本峻弥(3年)にとっては、2年前の兄に続く兄弟での優勝となった。

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U-19日本代表DF三国の、成長を証明するかのようなプレーだった。2-1の後半25分、ゴール前で味方がクリアミスしたボールを拾われた。シュート体勢に入った瞬間、絶妙なタイミングでスライディングタックルを仕掛け、絶体絶命のピンチを救った。「簡単に飛び込んでしまうことが多かったけど、冷静にギリギリまで飛び込まずいけた」。3年生でFWからコンバートされた男が、大舞台で最後の砦となった。

準決勝の尚志戦では2年生FW染野唯月にハットトリックを許した。この日は「監督から相手FWは全部お前がつぶすんだと言われていた」とリベンジに燃えていた。さらに2年前の優勝メンバー、兄スティビアエブス(順大2年)が成人式を欠席して応援に駆けつけた。「人生で1度しかない成人式に行ってほしかった。でも兄弟で優勝できるなんてめったにない。今日は青森山田中からの6年間で一番勝ちたい気持ちが強かった」と笑顔を見せた。小3と6歳の弟もサッカーをしており、「両親は青森山田に入れさせる気満々です」と夢の4兄弟制覇にも期待を寄せた。

今季は全国総体、プレミアリーグEAST、選手権の3冠を目標にしたが、優勝を逃してきた。黒田剛監督(48)からは「お前ら、このままで負けていいのか。最後も負けて終わるぞ」とゲキを飛ばされ意識が変わった。3-1とリードしてからも「最後まで絶対に気を緩めないで戦った」と、精神面での成長も優勝を確かなものにした。J1鹿島入りする相手のDF関川郁万(3年)との空中戦では、CKからヘディングで先制点を許し「悔しかった」と反省も忘れなかった。試合後に抱きあった際に「プロでも頑張ろうな」と声をかけられた。「まずは福岡をJ1に昇格させて、同じ舞台で戦いたい。将来は郁万と日本代表でも一緒にプレーできたらと思う」と、さらなる飛躍を誓った。【野上伸悟】