J1ベガルタ仙台は30日、仙台市紫山練習場で明日6月1日のホーム名古屋グランパス戦へ向けて練習を行った。開始予定時刻のわずか1時間前に、急きょ練習非公開に変更された。冒頭20分のみ取材が許され、その後、報道陣はシャットアウト。厳戒態勢が敷かれた練習は守備面に重き置き、徹底的に改善を図った。下位チームに連敗し、前節でついに最下位へ転落した。それでもホームは現在2連勝中だけに、サポーターの力を後押しに3位名古屋に挑む。

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練習は突如、非公開となった。集まった報道陣はシャットアウト。緊張感に包まれる状況で、チームは最下位脱出を目指し再起動した。練習を終え、取材に応じた渡辺晋監督(45)は「痛い連敗を喫したが、連休明けから厳しい練習を3日間やってきて、前向きに真摯(しんし)に取り組めている」と、リセットした様子。それでも、前節(25日)清水エスパルス戦は4失点と崩壊した守備に対しては「単純なミスをなくすこと、何でもかんでもボールを取りに行って、その背中を使われたら意味がない。集団でスライドしてボールを奪いにいく準備をしたい」と守備陣の共通認識を徹底させている。前節は先制し3得点と、攻撃陣は良化傾向にあることから「攻撃のトレーニングはあまり積めていない。今までやってきたこと(攻撃のスタイル)が表現できている」と、守備に重点を置いた練習であったことは明らかだ。

最下位転落で、チームの雰囲気も変わりつつある。GKシュミット・ダニエル(27)は「(練習では)お互いに要求し合うようになったし、厳しい雰囲気で練習ができている」と「目覚め」を感じている。イージーな失点が多いことから、対人の守備や、目の前の相手にシュートを打たせないなど、守備の基本を見直している最中で「コーチングは手助けにしかならないが、失点を防ぐ機会は増えるので、気にしてやっている」と、最後尾から仲間を鼓舞する。シュミットは名古屋戦後の6月9日、日本代表の一員として、地元の宮城で開催されるエルサルバドル戦に臨む。「(名古屋に)勝つか負けるかで代表戦に向かう気持ちが全然違う。一番はチームのために、自分のためにも勝利に貢献したい」と闘志を燃やす。

名古屋は個々の能力が高く、強力攻撃陣が大きな武器。守備陣の奮闘なくして、勝利はつかめない。ホームアドバンテージを生かし、全身全霊で戦う。【山田愛斗】