湘南ベルマーレの監督に就任した浮嶋敏氏(52)が10日、監督就任後の初練習を終えた後、神奈川県内で会見した。

曹貴裁前監督がパワハラ問題で退任。引き継ぐ形となった。浮嶋監督は「自分は9年間ベルマーレにいて、クラブを家族だと思っている。逃げずに引き受けることが恩返しになると思った」と、苦しい状況にあるチームの再建にあたる心境を語った。曹前監督からは「次、よろしくお願いします」と言われたという。

パワハラ問題が明るみに出てから約2カ月。この期間を「1年に感じるくらい長かった」と振り返った。そして強く感じたのが、選手の精神的な疲労の蓄積だった。前節川崎フロンターレ戦は0-5、その前の清水エスパルス戦は0-6で大敗した。「なにかを変えるより、原点を思い出すことが大事」とオフ・ザ・ボールで走る、切り替えを早くという「湘南スタイル」を再度思い出すことに注力する。

初練習ではゲーム形式の練習を多く取り入れた。「いい顔でサッカーをしていた。子どもの時に公園でボールを蹴った時のような、楽しい気持ちでできたのでは」と、選手1人1人の表情に目を向けていた。大野主将は「久しぶりにサッカーに集中できた感じがあった」。長く不安の中に置かれたチームが、前に進み出した。

指揮官が言葉に力を込めた、当面の目標はJ1に残留すること。次節は優勝争いをしている横浜F・マリノスとの神奈川ダービーとなる。「チームの力を発揮できれば、互角に戦える力があると思っている。大事なことは変わらない。根本を思い出すことを1番にやりたい」と指揮官。残り6戦、湘南の底力が問われる。