新型コロナウイルスの影響でJリーグが中断に入り、まもなく2カ月がたつ。入場料収入という大きな柱を失い、厳しい財務状況と向き合いながらも、各クラブは「今できること」を模索し、実行に移している。サガン鳥栖の「歴代ユニホームでマスク製作」、湘南ベルマーレの「オンラインスカウト活動」など、SNSの普及もあり、各クラブがオリジナリティーある施策に取り組む。試合どころか、練習もできない逆境の中、サポーターのため、地域のため、医療従事者のため、今もJクラブは必死に活動している。

   ◇   ◇   ◇

鹿島アントラーズは地域の飲食・食品業者と消費者を結ぶ「鹿行(ろっこう)の『食』を届けるプロジェクト」を展開している。

“鹿行”とは鹿嶋市や行方市などホームタウンの総称。クラブ公式サイトに特設ページを開き、食材や加工食品の通販を行う企業、また持ち帰りや配達が可能な飲食店を紹介している。新型コロナウイルスの影響で自粛ムードが高まる中、不況にあえぐ地元企業や店舗と外出を控える消費者をつなぐ“ウィン・ウィン”の取り組みだ。

プロジェクトは1日夜にスタートした。記者は同日の夕方頃まで取材のためクラブハウスに滞在しており、小泉社長から「もうすぐステキな取り組みを始めますよ」と“予告”を受けていた。近日中に…という口ぶりだったが、そのわずか数時間後にプロジェクトは始まった。善は急げ、とはこのことか。聞けば、議題に上がってから実質2日弱で運用にこぎ着けたという。メルカリ傘下に入り業務スピードが格段に上がった、鹿島の底力を感じた。【杉山理紗】