経営危機に陥っているサガン鳥栖は15日、佐賀・鳥栖市の北部グラウンドで全体練習を再開した。

新型コロナウイルスの感染拡大により、リーグも全体練習も中断してきた中で、J1で最初の始動だ。その理由について、金明輝監督(39)は「クラブのおかげ」。元日本代表FW豊田陽平(35)は「コロナに関して国が(緊急事態宣言を)解除したというところもあるし、鳥栖自体、感染者が多く出ているわけじゃない。安全面というところもクラブで見極めたと思う。僕らは少しでも強くなりたいし、選手の感覚とクラブの感覚をすり合わせてのスタートになったと思う」と説明した。

事態の収束が見えない中での“見切り発車”との見方も否めない中、クラブとしては、一部で批判の声があることも承知している。だが再開に当たって前日の記者会見で、竹原稔社長(59)は「私たちの中では、ベストのタイミングを選んだと思っている。選手にもそれを理解していただいたと思う」と話していた。

そんな中、いまだ見えないJリーグ再開へスタートを切った鳥栖。豊田は「生活の部分など社会の中で責任が求められる。(J1の)先陣を切っただけに、より大事になる」と気持ちを引き締め直した。

この日、クラブハウス横の駐車場には、梅雨に備え、選手が着替えなどに利用するための大型テント2つが設置された。「3密」を回避しながらの練習など、すべてのプロセスが、Jリーグのモデルケースとして注視されている。