日本サッカー協会(JFA)は7日、第100回全国高校サッカー選手権で準決勝に進出している関東第一(東京B)の登録選手2人から、新型コロナウイルス感染症の陽性反応が出たと発表した。

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これにより、関東第一は出場を辞退することになり、8日の準決勝の大津(熊本)戦は中止。大津が不戦勝で10日の決勝(国立競技場、午後2時5分開始)に進出することが決まった。

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ウイルスが憎い。関東第一の「選手権」が終わった。予期せぬ形で。準決勝開始予定から約15時間前。7日午後9時。JFAから1通のアナウンスが届いた。「関東第一高校の選手2名から新型コロナウイルスの陽性反応が認められました。現時点において、スタッフも含めて当該者以外からの体調不良の報告はありません」。

文章は続いた。「これにより、大会感染対策ガイドラインの内規に則り、正規登録チーム(選手30名及びチーム役員)に代わり予備登録チーム(選手14名及び正規登録チーム以外のチーム役員)での出場について、関東第一高校およびサッカー部の関係者で検討した結果、関東第一高校は準決勝の出場を辞退することになりました」。

聖地に戻ってきたのに。2回戦では怪物DFチェイス・アンリ擁する尚志(福島)にPK戦で勝利し、3回戦では強豪・矢板中央(栃木)を3-2で退けた。準々決勝では優勝候補だった静岡学園(静岡)をPK戦の末に破った。学校の歴史を塗り替え、つかんだ初のベスト4。開幕戦以来の国立が手からこぼれ落ちた。

皆と戦ってきた。小野貴裕監督は、静岡学園との激闘を終えた後「戦ったチームに失礼があってはいけない。これが矢板中央や、尚志なら粘り強く守るだろう。大敗して、他のチームが行けば良かったとは思われたくなかった」。敗れ去った学校の思いも背負ってきた。この日、JFAを通じて「今大会だけでなく、この2年間できる限りの対策を講じてきました。それでも陽性者が出てしまった以上、大会、相手校に迷惑はかけられないと判断しました。チームは動揺が隠せない状況ですので、個別の取材はご遠慮頂けますと幸いです」とコメントした。

何と言えばいいのか。キャプテンのDF池田健人(3年)は、選手権を最後にサッカーを卒業する。「選手権で、この仲間と1日でも長くサッカーをすること」。そんな夢が、ウイルスのせいでついえた。

準々決勝翌日の5日には、敗退した2校の関係者から新型コロナウイルス陽性反応が出たと発表された。いずれも敗退後に体調不良を訴え、その後に陽性が確認されたため、大会そのものへの影響はなかった。勝ち残っている学校から感染者が出たのは初めて。節目の100回大会。関東第一の挑戦が、こんな形で終わるなんて。ウイルスが憎い。【栗田尚樹】

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