FC東京のルーキーMF松木玖生(19)が、アウェー福岡戦でプロ初ゴールを記録した。0-1の前半24分に相手のバックパスを奪い、そのままGKとの1対1を制した。24年パリ五輪を目指すU-22日本代表にも飛び級で選出されている期待の若手が、開幕戦でのデビューから10試合目で得点を決めた。一方チームは今季最多の5失点で大敗した。

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プロ初ゴールの記憶は苦いものになった。0-1の前半24分に相手のバックパスがゆるくなったところを見逃さず、一気に詰めてボールをさらう。目の前には飛び出してくるGKだけ。「最初は左に流し込もうと思ったけど、自分の中でシュートを打ちづらい(GKとの)距離だった」と冷静に右へかわし、利き足でない右足で確実に左隅へ決めた。

追いついてチームが勢いづくかと思われたが、39分にふたたび勝ち越しを許す。後半に入っても失点が続き、前線の選手を投入するため、プロ最短の後半10分で途中交代に。不完全燃焼に終わり「ゴール以外は仕事をしていない。(DFの)間へのくさびや、ゴールに向かう回数が増えてもよかった」と笑顔はなかった。

4月30日に19歳の誕生日を迎えたばかり。「18歳と19歳の差は大きい」と語る。海外で10代の選手が活躍していることを引き合いに出しながら「自分はメンタルも技術もまだまだ」と、現在地に満足はない。将来の目標はプレミアリーグでプレーし、欧州チャンピオンズリーグで優勝すること。すでに飛び級でパリ五輪世代のU-22日本代表にも選出されているが「(五輪は)出場しなければいけない大会」と自身にかけるプレッシャーも大きい。

川崎Fとの開幕戦でスタメンに抜てきされ、出場停止を除く10試合に出場。持ち味のハードワークで走行距離が12キロを超え、チームトップになることも少なくなかった。それでも「開幕戦から得点を狙うと決めていたので、10試合目は遅い」。上を見続ける19歳にとっては、ゴールも大敗の屈辱もすべてが糧になる。【岡崎悠利】

◆松木玖生(まつき・くりゅう)2003年(平15)4月30日生まれ、北海道室蘭市出身。青森山田高で3年時に主将として全国高校総体、高円宮杯U-18プレミアリーグ東地区、高校選手権の3冠。高校選手権では1年時の初戦から全試合に出場しボランチながら通算15試合10得点。昨年10月にはパリ五輪を目指すU-22日本代表に18歳で選出された。今季初戦の川崎F戦でJ1デビュー。利き足は左。180センチ、76キロ。